ふとホームタンクを見たら、少し傾いている気がする。
気のせいかとも思うけれど、去年まではまっすぐだったような——。
タンクの傾きには、大きく分けて二つの原因があります。地面側の問題か、脚そのものの問題か。そしてこの二つは、必要な対処も費用もまったく違います。
厄介なのは、間違えたまま直してしまうと、また同じことが起きるという点です。この記事では、業者を呼ぶ前にご自分で原因の見当をつける方法をお伝えします。
傾いたまま使い続けると何が起きるか
「少し傾いているだけで、灯油は普通に出ている」——この状態でも、内部では確実に負担が偏っています。
- 一部の脚に重さが集中する——4本で分けていた重さが、傾いた側の1〜2本に偏ります。もともと弱っている脚に、さらに負担がかかります
- 配管に無理な力がかかる——タンクと配管はつながっています。タンクが動けば、接続部にも引っ張る力や曲げる力が加わり続けます
- 残量計が正しく出なくなる——傾いた分だけ、表示と実際の残量がずれます
そして最も注意が必要なのは、傾きは自然には止まらないということです。傾いたことで重さの偏りが生まれ、その偏りがさらに傾きを進めます。ゆっくりですが、必ず進行します。
4本の脚を見れば、原因の見当がつく
タンクから3メートルほど離れて、正面と真横の両方から見てください。見るのは「何本が、どちらに傾いているか」です。
4本ともまとめて同じ方向に傾いている場合
タンク全体が箱ごと傾いているように見えるなら、地面側の問題である可能性が高いです。
岩手では、地面の凍結と融解が毎年繰り返されます。土の中の水分が凍って膨らみ、春に解けて縮む。この動きが何年も続くと、束石が持ち上げられたり、片側だけ沈み込んだりします。タンクを置いた場所の水はけが悪ければ、なおさら進みます。
この場合、脚をいくら直しても傾きは直りません。束石を据え直すか、地面側を整える必要があります。順番を間違えると、直したそばからまた傾きます。
1本または2本だけが曲がっている場合
他の脚はまっすぐなのに、特定の脚だけが外側に開いていたり、途中で折れ曲がったように見えたりする。この場合はその脚そのものの問題です。
腐食で細くなった脚は、重さに耐えきれなくなると、ある日ゆっくりと曲がり始めます。折れて倒れる前に、まず曲がる。この「曲がり」は、限界が近いことを知らせる最後の合図です。
【写真挿入予定:腐食により変形した脚部】
見分けがつかない場合
実際には、両方が同時に起きていることも珍しくありません。地面が動いて負担が偏り、偏った側の脚が腐食して曲がる、という順序です。
判断がつかないときは、無理に結論を出さなくて構いません。正面と横から撮った写真が2枚あれば、こちらで判断できます。
傾きを見つけたときにやってはいけないこと
低いほうの脚の下に、板やブロックを差し込む
最も多い応急処置ですが、勧められません。差し込んだ部分だけで重さを受けることになり、脚の一点に力が集中します。木材は雪解け水を吸って腐り、春先に抜けて一気に傾くこともあります。
傾きを直そうとしてタンクを押す・引く
満タンなら400キログラム以上あります。人力で動かせる重さではありませんし、腐食した脚に横方向の力を加えるのは危険です。曲がった脚は、横からの力に特に弱くなっています。
「春になってから」と先送りする
気持ちは分かりますが、冬こそが最も条件の厳しい時期です。タンクは満タンになり、雪の重みが加わり、地面が凍って動きます。傾きに気づいたのが秋なら、雪が降る前に手を打つのが最善です。
原因別の対応と、費用の考え方
まず比較の基準として、交換の費用を挙げます。490リットルのホームタンクは本体だけで10万円前後、撤去・処分・束石設置・配管接続・灯油の抜き戻しを含めた交換工事一式でおよそ15万円前後が一般的です。
| 原因 | 必要な対応 | 注意点 |
|---|---|---|
| 地面側(4本とも傾く) | 束石の据え直し、地面の整正 | 脚を直しても再発する |
| 脚の腐食(1〜2本が曲がる) | 変形部の切除と部材の取り付け、防錆 | 他の脚も同時に確認が必要 |
| 両方 | 地面を整えたうえで脚を補修 | 順番を守らないと再発する |
いずれの場合も、タンク本体が健全であれば、交換せずに済むことがほとんどです。脚が曲がっていても、本体に穴や滲みがなければ、本体はまだ使えます。
逆に、本体の底や側面に滲みがある場合は、脚だけ直しても本体の寿命が先に来ます。そのときは交換をお勧めします。交換が正しい判断であるケースは確かにあり、そう判断したときは正直にお伝えしています。
プラン別の料金は修繕メニュー・料金表を、実際の施工内容は施工実績をご覧ください。脚の腐食全般についてはホームタンクの腐食補修にまとめています。
よくある質問
どのくらいの傾きから危険ですか
角度そのものより、原因のほうが重要です。地面が沈んで全体が傾いているなら、多少傾いていても脚の強度は残っています。一方、脚が曲がって傾いている場合は、見た目にはわずかでも限界が近いことがあります。
灯油を減らせば負担は軽くなりますか
重さは軽くなるので、一時的な負担は減ります。ただしこれは応急的な考え方で、根本的な解決にはなりません。冬に残量を減らしたまま過ごすのは現実的でもありません。傾きが進んでいるなら、早めにご相談ください。
束石が沈んでいる場合、作業は大がかりになりますか
沈み方の程度によります。据え直しで済む場合もあれば、地面の水はけから手を入れる必要がある場合もあります。現地を見たうえで、必要な範囲をお伝えします。
傾きは直さず、脚の補強だけでもいいですか
原因が脚の腐食であれば、補強によって傾きも解消することがあります。ただし地面が動いているのが原因の場合、脚を補強しても傾きは残り、いずれ同じ場所に負担がかかります。原因の切り分けが先です。
写真2枚で、原因の見当をお伝えします
傾きの原因は、正面と横から撮った写真があれば、かなりの部分まで判断できます。ご自分で見分けようとして迷うより、送っていただいたほうが早いと思います。
スマホでそのまま撮った写真で構いません。
- 正面から1枚(3メートルほど離れて、タンク全体が入るように)
- 真横から1枚(傾きの方向が分かるように)
- 気になる脚の付け根に寄って1枚
雅ジョイントワークス(岩手県紫波郡紫波町)
盛岡市・矢巾町・紫波町を中心に対応しています
